宝塚音楽学校96期裁判を考える 133922


96期裁判と、宙組生死亡の今回の事案とについて

1:管理人 :

2023/11/26 (Sun) 15:57:53

あるテレビ局から、このサイト宛てにメールで取材依頼が来て、二つの事件の共通点などについて尋ねられました。
その後、取り上げられることは無いようなので(^^;)、そのとき書いたことを残しておきます。
2:管理人 :

2023/11/26 (Sun) 15:59:11

①伝統を守るためなら誰かが犠牲になってもかまわない、という価値観。

人権という意識が皆無です。
96期の裁判で音楽学校側は、私立だから独自の裁量権がある、
伝統を守る共同体からはみ出たほうが悪い、と主張していました。

トラブルがあったら外部には隠蔽し、内部では改善するのではなく、
責め立てて最終的には追い出し、無かったことにして「伝統が守られた」ということにする。
それが常態化していると思われます。
3:管理人 :

2023/11/26 (Sun) 15:59:51

②丸投げしすぎ。

96期の裁判では、音楽学校の先生は歌や踊りを教える「講師」に過ぎず、
寮には寮監がいても何の権限もなく、事務員は委員から話を聞くだけで、
委員が大きな権限を持っていることがわかりました。

今回の事案でも、新人公演の長が演出助手のような仕事をさせられていると報道されて驚きましたが、
根っこは同じです。私設ファンクラブの在り方も同様です。
これも「自治の伝統」という美名で語られてきました。
4:管理人 :

2023/11/26 (Sun) 16:01:47

③無意味なルールにしばられていることに気付いていない。

今回の調査報告書では、ルールの整理・合理化について言及がありましたが、
一方で「このルールを破ったから上級生が指導した、必要な指導なので正当性がある」
というような記述が何か所がありました。

しかし「お声がけ」については、決められた日に挨拶をしなかったという話で、
そこまでこだわる必要性がわかりません
(舞台人としての礼儀云々はこの際どうでもいいです。死人が出ているのですから)。
公演における手伝いをどのようにするかという相談をするのであれば、
一斉にその時間を設けるのが一番合理的なのでは? 一般人はそう思います。
そのような時間が一斉に取れないのであれば、
被害者の方が公演間際で忙しくて「お声がけ」できなかったことの証左そのものです。

また、ハラスメントを受けて萎縮していたから事務能力が著しく低下していた非常に可能性も高いです。
誰かがミスをするなら、まず背景を考えるべきです。

96期の裁判では、たとえばですが、被害者の落ち度の一つとして
寮での洗濯機と乾燥機の使い方のルールを破った、
という音楽学校側の証言がありました。
しかし、生徒は予科だけで36人いるのに洗濯機は3台しかないのです
(さすがに今は改善されたと思います)。
少ないからルールが複雑になるし、間違えても仕方がない。
なのに「洗濯機を増やすべきなのでは」とは思わない。
結果、被害者は洗濯機の使用を禁止され、手洗いを強要されました。

ルールが知らされておらず、後から「あれはルール違反だった」と糾弾される場面もありました。
誰かを吊るし上げるためにルールがある、と言われても仕方がないです。
5:管理人 :

2023/11/26 (Sun) 16:03:39

④そもそも競争にさらされていてストレスが多い。

今までの報道であまり触れられていないですが、
出演者たちはハラスメント以前に多大なストレスにさらされています。

まず、宝塚音楽学校に入学するまでに、ほとんどの生徒が厳しい競争で疲弊しています
(受験スクールを経て入学する生徒が多いので、派閥が出来たりするそうです。
一方、あまり準備しないで合格した生徒や地方出身者といった少数派は浮いてしまうこともあるそうです
(96期もそうした要素があったと思います))。

入学したら同期の中では「長」にあたる「委員」が委員以外の生徒を強い権限で仕切り、
本科生が予科生を「指導」し、入団すれば上級生が下級生を「指導」します。
また、厳しい出世レースが永遠に続きます。脇役でもそれなりに競争がありますし、
トップスターになっても他のトップスターと比べられます。誰が出世するのかを劇団は煽り、
ファンも(時には涙しながら)煽りにのってしまいます。

芸能界はどこでもそういうことがあるとは思いますが、
宝塚は完全に閉じられた空間なので、相当ストレスがかかっている状態だと思います。

そんな中でも、発言権があるポジションに良心的で心が強い人がいると比較的ましなのだと思いますが、
弱い部分も持ったごくごく普通の人が、加害者にならないで済むような環境を、劇団側が整えるべきです。

OGがAERAに語ったところによると、「上に行けば威張れて楽だしストレス発散できる」という話があり、
そういう面も多々あるだろうな、と。
典型的なパワハラ職場だと思いました。
6:管理人 :

2023/11/26 (Sun) 16:05:29

⑤集団ヒステリー状態。

宝塚の全体が、おそらくファンも含めて、歓喜と熱狂とその裏返しの集団ヒステリー状態になっていると思います。
96期の事件も、ほとんどの生徒は悪意からではなく、周りにつられてやってしまったことだと感じました。

何かをきっかけに盛り上がり、引きずられてしまう。それで疲弊しても止められず、
被害者のことを「あいつさえいなければ」と思ってしまう。

②丸投げ状態や③無意味なルールで過重労働になり、④競争で爆発し、
しかし①伝統の前提があるので、「いけないことなのではないか」と気付く余地が無い。
もちろん外部にも相談しない。

外部漏らし禁止なんて、堂々と隠蔽しますと言ってるようなもので、
おかしいと思わないのは異常な状態です。
7:管理人 :

2023/11/26 (Sun) 16:06:34

(2023.11.26現在)劇団は過重労働はあったけどハラスメントは無かった、と主張しています。
でも、ハラスメントとも言うべき異常な環境があって、だからこそ過重労働にもなる。
過重労働だからこそ、暴言などを自制できない。

そこを切り離して過重労働だけで逃れようとしている劇団側の姿勢は隠蔽以外の何物でもないです。

「稽古時間を短くして改善しました」と言いながら、
一定時間でタイムカードを打刻してそのあとも稽古を続ける、というようなことをしかねません。

8:管理人 :

2023/11/26 (Sun) 16:13:18

すべての原因は、宝塚歌劇を過剰に神聖化しすぎたことにあるのでしょう。
ファンも、ビジネスで関わっている会社やお店、公的機関なども含めて。
宝塚を神聖化し依存してきました。
(かつての私もそうでした。)
内部だけでなく、周囲もこの依存を断ち切る選択肢が見えてきたと思います。

劇団も阪急も、96期裁判で少しは反省し改善したかと思っていたのに、
全くそうではなく、一人の人の命が犠牲になってしまいました。
最後になりましたが、夢を抱いて入団したのに苦悩のうちに亡くなった方の、
ご冥福を心よりお祈りします。

9:裁判記録閲覧者 :

2023/11/28 (Tue) 08:02:24

管理人さん、ご苦労様です。
私のところにも同じ記者さんから問い合わせがありました。私は思っていることを簡潔にまとめてすぐに返答しました。管理人さんのように長文ではありません。
その記者さんの返答では、過重労働・パワハラ事案は96期裁判とは別の事案なのですぐに取り上げることはしないが、現在の事案の背景として96期裁判のことも知っておきたい、ということでした。

管理人さんの長文の熟慮した返答は、報道資料としてはすぐには使われないようですが、今回の事件の背景を探る上では意味があるし、このように公開され皆さんに考える材料を提供したことは大変よかったと思います。


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